TeX(てふ)とはオープンソースで開発されている組版ソフトウェアのことです。数学者ドナルド=クヌースが自著の組版のために開発したもので、数式の美しい組版に定評があるため理数系の論文や書籍に広く使われます。
LaTeXはその上に作られた文書処理システムです。
pTex、pLaTeXは株式会社アスキー(今のアスキー・メディアワークス)がそれらを日本化したものであり、縦書きへ対応しています。
そのような素晴らしいソフトウェアなのですが、ワープロのような直感的な操作ができませんし、フォントの変更や体裁の変更など、一般の文書を作るために必要な操作が難しいものとなっています。
私はいろいろとインターネットで調べ試行錯誤してきましたが、得た知識をただ溜め込んでおくだけで還元しないのは申し訳ないので、自分なりの使い方を青空文庫を「文庫」の体裁にする作業を通して説明していきたいと思います。
私自身決してTeXに詳しいわけではないので記述に誤りがある虞が多分にあります。自己責任で利用してください。
環境は Windows 7 + TeX Live 2012 + pLaTeX2e です。が、LinuxでもMacintoshでもさほど変わりないと思います。適宜読み替えてください。
プログラミング言語「なでしこ」でスクリプトを書く記述がありますが、これはWindows専用ですから、その部分はrubyなりperlなりで自分で作ってください。(簡単に作れると思います)
ひとくちにTeXと言っても対象とするOSの違いなどでいくつかの頒布形態(ディストリビューション)が存在します。
ここではTeX Liveを使っていくことにします。その利点については以下が詳しいです。
さて、インストール作業ですが、TeX Wikiに既に詳しい説明があります。ここで説明するよりもあちらを参照した方が正確で分かりやすいでしょうから、以下を参照してください。
私のとった方法を一応説明しておきますと、「Network Based Installer」をダウンロード・解凍し、コマンドプロンプトを起動してカレントディレクトリをさきほど解凍したフォルダに設定し、以下のように打ち込みます。
install-tl-advanced.bat --repository ftp://ftp.ne.jp/pub/ctan/systems/texlive/tlnet/
すると、GUIのインストール設定画面が現れます。適宜変更を行ってください。私の場合はインストール場所を「D:\tool\texlive」以下に変更しました。
あとはインストーラーが自動で必要なパッケージをダウンロード・展開・インストールしてくれますから、ただ待ちましょう。
とりあえず、ここまでの作業でインストールがきちんとできているか確認します。
まず、どこかに作業フォルダを作ります。ここでは例として「D:\TeX」に作りました。
その中に「test1.tex」というファイルを作り、メモ帳などのテキストエディタで開いて以下のように入力して保存してください。
\documentclass{jsarticle} \usepackage{otf} \begin{document} 東風吹かば匂ひおこせよ梅の花\\ 主なしとて春を忘るな \end{document}
完成したら、コマンドプロンプトを開いてカレントディレクトリをD:\TeXに移動して以下のようなコマンドを実行してください。
platex test1
すると、D:\TeXの中に「test1.dvi」を含むいくつかのファイルが出来ているはずです。その状態で更に以下のようなコマンドを実行します。
dvipdfmx test1
D:\TeXに「test1.pdf」が出来ると思います。それを開いて「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花(改行)主なしとて春を忘るな」と表示されていれば成功です。
ここまでがうまくいかなかった場合、インストール作業がどこかで失敗しています。表示されるエラーメッセージを頼りに修正してください。